関西支部の活動紹介

国際ビジネスコミュニケーション学会 関西支部会のお知らせ

下記の通り、関西支部会(国際商取引学会との合同部会)の概要が決まりましたのでお知らせいたします。

統一テーマ講演(3件)、特別講演(1件)、個別研究報告(3件)といった内容で開催いたします。
ZOOMのURLを含む詳細な情報については、後日、会員の皆様にご連絡いたします。

 <開催内容詳細>

・開催日時:3月24日(日)13:00~18:05(懇親会:18:30~20:30)

・開催場所:同志社大学今出川キャンパス(ハイブリッド方式〔オンライン配信あり〕)

【開会挨拶】(13:00~13:05)

【統一テーマ講演】(13:05~15:00)

統一テーマ―VUCA時代におけるビジネスコミュニケーションの現状と今後について―」

(1)「状況が不安定な時に効果的な共感力のビジネスコミュニケーション:アナウンサーの視点から」
山本ミッシェール氏(フリーアナウンサー(株式会社メリディアンプロモーション))

(2)「デジタル社会に際立つ国際物流におけるコミュニケーションの重要さについて」
植村浩康氏(代表(H&Jコンサルティング))

(3)「製薬業界におけるビジネスコミュニケーションの特徴と今後の展望」

周藤俊樹氏(取締役研究部門担当(兼)大阪創薬研究センター長(大塚製薬株式会社))

【特別講演】(15:05~15:45)

「クリエイティブ産業と「ビジネスと人権」: 「セクシー田中さん」事件におけ漫画原作者の人権侵害問題」
齋藤彰氏(名誉教授(神戸大学)、顧問(One Asia Lawyers Group))

【個別研究報告】(15:50~18:00)

座長:高杉直氏(教授(同志社大学))
(1)「船社によるLetter of guaranteeの用途と比較」

キセリョフ・エフゲーニー氏(准教授(就実大学))
(2)「開業5年を迎えたOcean Network Express社」

合田浩之氏(教授(東海大学))
(3)「国際調停による和解合意に執行力を付与するシンガポール条約と実務」

山口修司氏(弁護士(山口総合法律事務所)・客員教授(中央大学法科大学院))

【閉会挨拶】(18:00~18:05)

【懇親会】(18:30~20:30)

 以上。

参加についてご質問などありましたら、こちらの問合せ(https://jbca.gr.jp/contacts/)から事務局本部へ、または関西支部へメールでお問合せください。

多くの皆様のご参加をお待ちしております。

JBCA関西支部長 
長沼健


JBCA関西支部3学会合同部会の開催について(決定詳細):

国際ビジネスコミュニケーション学会の会員の皆様方

3月19日(日)に、「3学会(国際ビジネスコミュニケーション学会・国際商取引学会・日本港湾経済学会)合同の関西支部会」をオンラインにて開催致します。
当日のスケジュールおよび報告要旨を、下記の通りご案内致します。

【3月19日(日)のスケジュール】
14:00~開会の挨拶

14:05~14:45
【第1報告】「米中貿易紛争の現状と注意点-特に刑事罰に注意して―」
報告者:内田芳樹氏(MDPビジネスアドバイザリー(株)・ニューヨーク州弁護士)
個別研究報告要旨:米中覇権戦争が複雑なのは、両国政府がお互い容認し合っている取引と厳しい規制がかかっている取引、
そしてどちらか曖昧な取引が混在していることが大きな理由の一つではないかと考える。米国法の域外適用も従前の理論を越えて
OFACの第二次制裁が科された事例が既に存在する。日本企業は、この環境下で米国司法省が企業に対し整備を求める
コンプライアンス・プログラム策定・実施や電子証拠(Electronic Evidence)対応等、米国刑事法上の事前対応が求められることが
案外意識されておらず、経済産業省が推薦するCISTECによる推奨対応も旧来のCOCOMや外為法違反対応が前提となっているように見える。
本研究発表では、米国内に何ら拠点のない日本企業がOFACやBISといった米国政府機関から自社の対中取引や中国と共同研究を
理由として制裁を受ける可能性と事前の対応策・問題視された際の対米国当局宛て交渉方法等について具体的事案も想定しながら協議したい。

14:50~15:30
【第2報告】「北極海航路についての2022年の回顧と2023年の展望」
報告者:合田浩之氏(東海大学・教授)
個別研究報告要旨:2022年2月,ロシアによるウクライナへの特別軍事行動が断行され,少なくとも西側諸国(西欧・米国・日韓等)によって,
以後,ロシアへの経済制裁(特に,石油ガス類の貿易への制限)がなされた。また,西側諸国企業による対露取引の自粛が広範に観られた。
北極海航路(Northern Sea Route,The Northeast Passage)においては,貨物輸送については,
基本的には,ロシア北極圏からの資源類(石油・液化天然ガス・石炭・ニッケル等)の資源の搬出と,ロシア北極圏沿岸における資源開発のための,
資材・機器類の同地域への搬入が,その貨物輸送の太宗である。
日本の一部に於いては,アジア-欧州航路のショートカットが可能なる航路としての期待,とりわけコンテナ輸送への利活用への期待があるが,
そのような可能性は乏しい。そして,コンテナ輸送以外でのアジア-欧州航路のショートカットとしての利用自体,余り多くない。
それはさておき,北極海からの液化天然ガス輸送については,日本企業の参画もみられる。
本報告では,西側諸国政府による対露経済制裁・西側企業による取引自粛を振り返ると共に,北極海航路の荷動きが,
第一に2022年のそれが,2021年のそれとの比較でどのように変わったか検証する。第二に,ロシア領域の北極海沿岸における資源開発の見通しと,
近未来の荷動き見通しを試みる。第三に,北極海からの液化天然ガス輸送に参画する日本企業について,そのリスクとリスク軽減策の現実的な
可能性について指摘する。
もし報告時間に余裕があれば,日本国での関心事項であるコンテナ輸送が,何故可能性が小さいと判断されているのか,ということについて,
説明を加えることになるかもしれない。

15:35~16:15
【第3報告】「司法の国境がなくなる:米国管轄権の拡大と日本企業の対応」
報告者:秋山武夫氏(元Pillsbury Winthrop Shaw Pittman・ニューヨーク州弁護士)
個別研究報告要旨:日本の自動車部品メーカーが日本の自動車会社への販売に関し、日本で行ったカルテルでは、
その部品を搭載した車が一部アメリカで販売されたことを根拠に、日本人幹部60人、日本の部品メーカー30社が刑事訴追の対象となりました。
(日本で行われたカルテルで、間接輸出のケースです)30人が1-2年の禁固刑、執行猶予なしです。
会社は23億2240万ドル(3250億円)の罰金を科せられました。日本企業やその従業員は日本での商取引においても、
米国を含む諸外国の法律にどう対応していかなければならないか考え、対策を講じておかなければなりません。
金融商品取引法違反や会社法上の特別背任で起訴され、レバノンに密出国したカルロス. ゴーンのケースは記憶に新しいと思います。
このケースでは日本の刑事制度の在り方が諸外国より痛烈な批判を浴びることになりました。小さな島国の村社会であった日本もどんどん国際化しており、
犯罪も国際化しております。現在の制度疲労を起こした明治維新以来の刑事制度に頼るのではなく、
国際基準での刑事訴追制度の構築に向けて真剣に取り組む時が来ているように思われます。
本報告では、特にホワイトカラークライムに関して、コンプライアンスを含む民間レベルでの対応、また国のレベルでは日本の刑事司法制度を
どのように改革すべきかについて、米国の制度との比較において考えていきたいと思います。

16:20~17:00
【第4報告】「東アジアの家族企業における事業承継とビジネスコミュニケーションの役割」
報告者:洪性奉氏(就実大学・専任講師)
個別研究報告要旨:家族企業におけるビジネスコミュニケーションは、健全な企業経営の大前提であり、その存続と事業承継に大きな影響を与えている。
家族企業が他のタイプの企業と異なる点の一つは、創業家がその企業を所有・支配していることである。企業に多大な影響を及ぼす創業家において、
家族経営がうまく機能するために最も重要な点は創業家内のコミュニケーションの役割である。したがって、本研究は「似て非なる」東アジア諸社会
(日本・中国本土・台湾・香港・韓国)の家族企業における事業承継の事例を取り上げ、事業承継を取り巻く家族経営構造の中で、
ビジネスコミュニケーションの重要性と役割に焦点を当てて考察し、今後のさらなる研究展開に向けたリサーチ・クエスチョンの発見・整理に
主眼点を置くことが目的である。研究の枠組みとして、河口・竇・洪(2020)の家族企業における3つの経営「企業経営」、「家族経営」、「財産経営」視点から
有効な理論の構築を導くため、フィールドワークを行い、その調査結果から得た情報の因果関係を読み解くことによって、
事業承継の複雑なダイナミズムを解明するアナロジーの発想を用いた。

17:05~18:35
【ミニシンポジウム】
「ビジネスの戦争地域からの責任ある撤退について:ミャンマーの事例を中心に」
報告者:齋藤彰氏(神戸大学・名誉教授)・難波泰明氏(One Asia Lawyers・弁護士)・佐野和樹氏(One Asia Lawyers・弁護士) 

閉会の挨拶
18:40~

以上。


JBCA関西支部3学会合同部会の開催について(暫定詳細):

3月19日(日)に、「3学会(国際商取引学会・国際ビジネスコミュニケーション学会・日本港湾経済学会)合同部会」をオンラインにて開催致します。
当日のスケジュールが確定致しましたので、下記の通りご案内致します。
ビデオ会議システム(ZOOM)のリンク(URL)を大会1週間前にメールで送付させて頂きます。
皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げます。

「詳細・開催内容」

3月19日(日)のスケジュール:
14:00 開会の挨拶

【個別研究報告】
14:05~14:45
「米中貿易紛争の現状と注意点-特に刑事罰に注意して―」
報告者:内田芳樹氏(MDPビジネスアドバイザリー(株)・ニューヨーク州弁護士)

14:50~15:30
「北極海航路についての2022年の回顧と2023年の展望」
報告者:合田浩之氏(東海大学・教授)

15:35~16:15
「司法の国境がなくなる:米国のホワイトカラークライムに対する刑事司法の展開と日本」
報告者:秋山武夫氏(Pillsbury Winthrop Shaw Pittman・ニューヨーク州弁護士)

16:20~17:00
「東アジアの家族企業における事業承継とビジネスコミュニケーションの役割」
報告者:洪性奉氏(就実大学・専任講師)

17:05~18:35
【ミニシンポジウム】
「ビジネスの戦争地域からの責任ある撤退について:ミャンマーの事例を中心に」
報告者:齋藤彰氏(神戸大学・名誉教授)・難波泰明氏(弁護士)・佐野和樹氏(弁護士) 

閉会の挨拶
18:40~

以上


2023年第1回関西支部会オンライン開催のお知らせ

このイベントは終了いたしました

日時:2023年1月29日日曜日14:00から17:30(予定)。オンライン開催にて実施します。

尚、現在非会員・一般の方で、ご興味がありましたら、積極的に支部会にご参加ください。
ご参加ご希望の方は、以下のアドレスの事務局まで
お名前と所属大学または会社名、ご連絡先を事前にお知らせください。
追って、事務局より当日のご参加いただくURLをお送りいたします。

事務局お問い合わせ先: seijinomura@nifty.com (事務局長 野村誠二) 


プログラム詳細:

14:00〜14:10  支部長の挨拶およびオンライン支部会に際してのご留意事項などについて 

―第1部:講演会― 

14:10~15:10 

【講演1】足田紀雄様によるご講演「ダイキン工業の企業理念とビジネスコミュニケーション」 

・足田紀雄様のプロフィール: 

⇒ダイキン工業株式会社・常務執行役員(経営企画、電子システム事業、テクノロジー・イノベーションセンター テクノロジー・イノベーション戦略室担当) 

15:20~16:00 

【講演2】関智宏様によるご講演「中小企業の労働環境とビジネスコミュニケーション」 

・関智宏様のプロフィール: 

⇒同志社大学・教授、同志社大学中小企業マネジメントセンター・センター長 

―第2部:研究報告(報告30分、質疑応答10分)― 

16:05~16:45 

【研究報告1】佐藤洋一様(東洋大学・准教授)によるご報告「効果的なハイブリッド会議に必要なハードウェアの検討:デジタル・ビジネスコミュニケーションの知見から」 

16:50~17:30 

【研究報告2】キセリョフ・エフゲーニー様(神戸薬科大学・講師)によるご報告「ロシア商取引における貿易条件の変遷」 

17:30 閉会 予定


関西支部会の開催お知らせ

このイベントは終了いたしました

今回、3月19日の「3学会合同関西支部会」のスケジュールが下記の通り確定致しましたので、ご連絡させて頂きます。JBCAの会員の皆さまへのご案内をどうぞよろしくお願い致します(お手数をお掛けしますが、メールとHPへのご案内をどうぞよろしくお願い致します)。
また、当日のZOOMのURLでございますが、大会1週間前にご案内することもお伝え頂ければ大変嬉しく存じます(今回、3学会の合同で開催することもあり、事前申込みを不要として、3学会の会員の皆さまにURLをお送りする予定でございます)。


3月19日(土)のスケジュール
13:05~17:25 研究報告会 
17:35~18:15 関西支部総会

〈研究報告会〉
【13:05~13:55】
第1発表「荷主と物流事業者の連携による輸送網集約の効果と可能性~物流総合効率化法における取り組み事例から~」、田中康仁氏(流通科学大学・准教授)

【14:00~14:45】
第2発表「COVID-19の感染拡大による自動車海上輸送の動向と運送書類への影響」、長沼健氏(同志社大学・教授)
(中休み)

【15:00~15:45】
第3発表「ロシアにおけるインコタームズ:現状と課題」、キセリョフ エフゲーニ氏(神戸薬科大学・講師)

【15:50~16:35】
第4発表「金融取引におけるターム物リスク・フリー・レートの使用に関する検討―LIBOR公表停止後の望ましい金利指標のあり方―」、中村篤志氏(新潟大学・講師)

【16:40~17:25】
第5発表「インド家電市場における韓国企業の現地化戦略の再考察」、洪性奉氏(就実大学・講師)

〈研究報告の概要〉
◆報告題目:「荷主と物流事業者の連携による輸送網集約の効果と可能性~物流総合効率化法における取り組み事例から~」
◆氏名(所属・職位):田中康仁氏(流通科学大学・准教授)
◆所属学会:日本港湾経済学会
◆要旨:
2005年の物流総合効率化法の策定から、十数年余りが経ち、物流を取り巻く環境も大きく変わってきた。従来の安全対策、渋滞対策および環境問題への対応から、物流ニーズの高度化・多様化等への対応、さらには昨今のドライバー不足への対応である。こうした状況を受けて、2018年10月、物流総合効率化法の改正が行われた。この中で、特に重点が置かれていたのが「多様な関係者の連携」を進めることにより、生産性を向上し、物流ネットワーク全体の省力化・効率化を更に進めていく枠組みの必要性である。
そこで、本報告では、物流総合効率化法の具体的な取り組み事例である「輸送網の集約」、「モーダルシフト」、「輸配送の共同化」の効果について検証し、次いで「輸送網の集約」に焦点を当てて、実際の取り組み事例の経緯とその成果を紹介した上で、今後の輸送網集約の可能性について検討したい。
具体的には、まず、1)国土交通省の資料を基に、物流総合効率化法の取り組み(輸送網の集約、モーダルシフト、輸配送の共同化)の効果について検証する。次いで、2)輸送網の集約に焦点を当てて、実際の取り組み事例の経緯とその成果を紹介する。最後に、3)京阪神都市圏における物流施設の立地分析から得られた成果を基に、輸送網集約の可能性を探りたい。

◆報告題目:「COVID-19の感染拡大による自動車輸出の動向と運送書類への影響」
◆氏名(所属・職位):長沼健氏(同志社大学・教授)
◆所属学会:日本港湾経済学会、国際商取引学会、国際ビジネスコミュニケーション学会
◆要旨:
COVID-19の感染が拡大したことで、世界中でロックダウンやステイホームなどの職場閉鎖や移動制限が起こった。IMFはこれを「大封鎖」と呼んだ。このように、経済活動の基盤である人・モノ・カネの流れが制約されたことで、世界経済の活動が大きく停滞した。世界のGDP(2020年)は前年比で3.3%減となり、世界の貿易は前年比で7.3%減まで大幅に落ち込んだ。日本においても、飲食や宿泊業界を中心に多くの企業が苦しい経営を余儀なくされた。その結果、2020年度のGDPは前年比で4.6%減と、リーマンショック超える戦後最大の下落となった 。
COVID-19の影響は、日本の基幹産業である自動車産業にも及んだ。例えば、トヨタの2020年のグローバル販売実績は前年比で10.5%減、輸出では17.9%減となった。また、トヨタを含む自動車メーカー8社が発表した2020年の世界生産台数の合計は、前年比17.9%減の2282万5343台となり、大幅に落ち込んだ。自動車産業の落ち込みは、日本経済の様々な分野に影響を与えた。その中には、自動車などの製品を輸出する上で重要な役割を果たしている海上運送にも影響が及んでいる。しかしながら、これらの影響について具体的な企業活動のデータを用いて分析した研究は多くはない 。
そこで、本研究では、COVID-19の感染拡大が日本における自動車輸出の海上運送に与えた影響とそこで使用される運送書類の変化について、船会社の運送書類発行データを時系列分析することで考察したい。その手順は以下の通りである。まず、COVID-19の感染拡大による自動車産業への影響について述べる。次に、COVID-19の感染拡大が自動車産業の輸出(海上運送)にどのように影響を与えたのかを、「運送書類の発行数」と「運送書類の種類」という2点から、船会社の時系列データを用いて分析し考察する。最後に、これらの分析を通じて明らかになった点を整理し、本研究の課題について述べる。

◆報告題目:「ロシアにおけるインコタームズ:現状と課題」
◆氏名(所属・職位):キセリョフ・エフゲーニ氏(神戸薬科大学・講師)
◆所属学会:国際商取引学会、国際ビジネスコミュニケーション学会
◆要旨:
 本報告では、ロシアにおけるインコタームズの現状と課題について考察したい。インコタームズは、貿易取引条件としてソ連時代からロシアの貿易で一般的に使用されているが、近年インコタームズに対するビジネスのアプローチに変化が見られる。例えば、2010年代からは、ロシア国内でもインコタームズの使用が増加している。また、売買取引を中心とするインコタームズは物流(例えば、運送会社の間のやりとり)などに使われることが増えているという報告がある。さらに、カスタマイズ化されたインコタームズ(例えば、FOB loaded、FOB deliveredなど)、すなわち 国際商業会議所(ICC)の定義と異なる意味で使われるインコタームズが見られる。ロシアにおけるインコタームズの使用に関しては統計や正式的な数字が報告されていないが、裁判のデータを通じてこの使用の変化について述べたい。
 また、ロシアでは商取引について民法典に細かい規定があるにもかかわらず、売主と買主との間でのリスクの移転時点や運賃や保険料等の費用の負担区分などについてのロシア法の説明がインコタームズほど詳しくないという批判が指摘されている。また、ビジネス的には、幅広いロシア国内の取引でも複雑な物流ルートがあるため、インコタームズを利用した方がスムーズであり、これはインコタームズの強みとしてロシアの研究者により報告されている。この影響を受けて、2010年代に入ってからインコタームズは、ロシアの商慣習として国内取引にも使うことが可能になり、さらにロシアの貿易支援機関がインコタームズのメリットをアピールしている。一方、国際貿易を特色とするインコタームズはロシアの法律に直接反映されておらず、ロシアの税金と契約に関する法律の関係で全てのインコタームズが国内取引に使えるわけではないので、国内法とインコタームズで矛盾している場合もある。ロシアの裁判においても、インコタームズがロシアの法律に定められていないという点が判決に直接影響を与えるケースが少なくなかったが、2014年のロシア最高仲裁裁判所の説明により、商慣習としてインコタームズへのアプローチが改善されたと考えられる。このように、近年のインコタームズに対するロシアの態度について考察したい。

◆報告題目:「金融取引におけるターム物リスク・フリー・レートの使用に関する検討 ―LIBOR公表停止後の望ましい金利指標のあり方―」
◆氏名(所属・職位):中村篤志氏(新潟大学・講師)
◆所属学会:国際商取引学会
◆要旨:
2021年末、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の公表が原則として停止された。従前、わが国では、金融取引における指標金利としてLIBORを最も広範に使用しており、この点は他国と同様であった。しかしながら、ポストLIBOR時代における代替金利指標として、グローバルにはオーバーナイト物リスク・フリー・レート(O/N RFR) 後決め複利が主として想定される一方、わが国では、ターム物リスク・フリー・レート(ターム物RFR)の広範な利用が見込まれており、この点で他国とは異なる独自の路線を進み始めている。本稿では、主として英国および米国との比較を通じて、ターム物RFRの使用にかかる諸論点を検討するとともに、望ましい金利指標のあり方を考察する。
まず前提として、世界でターム物RFRが構築されているのは、英国、米国、日本のみである。もっとも、英国および米国では、ターム物RFRの利用に一定の制限をかけており、また、金融安定理事会(FSB)もこうした制限の妥当性を示唆している。この背景として、①ターム物RFRの裏付け市場であるデリバティブ市場(OIS市場)の流動性向上が必要であること、②ターム物RFR参照キャッシュ商品の増加がO/N RFR 後決め複利参照キャッシュ商品の増加を妨げ、結果的に、OIS市場の流動性を低下させる可能性があること、③金融機関がOIS取引およびターム物RFR参照貸出を同時に実行するケースなどで、利益相反が発生する可能性があること、の3つのリスクが挙げられている。
英米でのこうした議論もふまえ、わが国のターム物RFRである「東京ターム物リスク・フリー・レート(TORF)」の利用に向けた対応を考察する。まず、①日本円金利指標に関する検討委員会(事務局:日本銀行)や金融当局のイニシアチブにより、円金利スワップ市場において取引の中心となるべき代替金利指標が無担保コールオーバーナイト物レート(TONA)であることが明確化されたため、OIS市場の流動性は明確に向上している。次に、②O/N RFR 後決め複利参照キャッシュ商品の増加を企図して、O/N RFR 複利の計算結果であるTONA IndexやTONA Averagesの公表が開始されている。更に、③金融機関の利益相反のおそれに対しては、金融商品取引法上の規定のほか、TORF運営機関による業務規程や、TORF監視委員会によるモニタリング、レポーティング・ブローカーに対する行動規範の制定等によって、頑健なガバナンス体制の構築が図られている。
こうした対応により、TORFの利用にかかるリスクは低減されるものの、課題は残されている。第1に、①金融機関がベーシスリスクおよびカウンターパーティーリスクを負うこととなる点である。すなわち、金融機関が、TORFを参照して資金調達した顧客に対して、当該資金調達にかかるヘッジのためにTORFスワップを提供した場合、インターバンク市場でのカバー取引をOIS取引で実施することになるため、金融機関はベーシスリスクを保有する。また、インターバンク市場におけるTORFスワップの流動性向上は見込まれないため、中央清算機関(CCP)の清算集中取引の対象となることは見通し難く、結果として、金融機関がカウンターパーティーリスクを保有することとなる。第2に、②英国および米国では、O/N RFR 複利の計算結果が中央銀行から公表されている一方、わが国では、日本銀行ではなく、民間企業によって算出・公表されている。この点、公表レートへのアクセシビリティやクレディビリティの観点では、わが国でも中央銀行による公表が期待される。第3に、③利益相反の観点では、例えば英国における対応と比べると、金融機関へのガバナンス体制の強化などの点で更なる検討の余地がある。

◆報告題目:「インド家電市場における韓国企業の現地化戦略の再考察」
◆氏名(所属・職位):洪性奉氏(就実大学・講師)
◆所属学会:国際商取引学会
◆要旨:
インド市場はビジネス環境において中国市場と大きく異なっており、外資系企業が進出をする際には十分な注意が必要である。その期待とリスクの高いインド市場において、韓国企業は先行参入していた外資系企業よりも、一貫して業績を伸ばすことができた。その理由は、①単独出資による完全子会社、②早期進出と集中投資、②徹底した現地化戦略である。しかし、近年、グローバル市場における多国籍企業の競争戦略を考える際に、海外子会社の現地化戦略とグローバル統合化戦略を分離して考えることは難しい。したがって、本研究では、インド家電市場における韓国家電メーカーの現地化戦略の再考察を行うことで、グローバル統合化または現地化の追求を二者択一として見るのではなく、現地国の環境要素や産業の特性および、企業の状況に合わせて現地化のレベルを決定すべきであるという視点から検証を試みたい。
本研究の目的は、多様性と特殊性を持つインド家電市場を取り上げ、早期進出を行った韓国家電メーカーの戦略行動における本社の意思決定について、在外子会社の現地化戦略とグローバル統合化戦略の事例を取りあげ検証を試みることである。これまでの研究の中で、インド家電市場において韓国企業が競争優位を実現できた主な理由は、単独出資による完全子会社化と早期進出、集中投資、そして徹底した現地化戦略であることが明確にされた。さらに、LG電子インド法人(以下、LGEILと略す)の場合、進出初期から販売戦略と流通戦略、製品戦略、価格戦略、人事および労務管理において現地化を全方位的に進めていたことが分かった。しかし、LGEILが徹底した販売、流通、製品、価格の現地化戦略、さらに人事および労務管理の現地化戦略を検証してみると、本社の集権的な「グローバル統合化」又は柔軟な「トランスナショナル型」が見られ、従来の現地化戦略だけでは説明仕切れない難点がいくつかある。したがって、本研究ではLGEILだけではなく、サムスン電子インド法人の事例も入れて、海外進出におけるグローバル組織と現地化戦略の特徴について再考察を試みる。


関西支部会協賛シンポジウム

このイベントは終了いたしました。
以下のURLから詳細をご覧いただけます。
https://jbca.gr.jp/wp2022/?p=310


お問合せ

関西支部 
〒602-8580 京都市上京区今出川通烏丸東入 同志社大学商学部 長沼健研究室内 
国際ビジネスコミュニケーション学会関西支部長 長沼健
Tel: 075-251-3689
E-mail: knaganum@mail.doshisha.ac.jp